「お久しぶりです」
振り返ると彼がいた。
初めて顔を合わせ話をしてから2ヶ月経った頃だろうか。
「久しぶりですね」
愛想笑いを浮かべ言葉を返した。
「美味しいご飯屋さんがあるんです。今度一緒に行きませんか?」
突然の誘いに固まった。
この人はどういうつもりで私を誘っているのだろうか。
私に営業をかけても仕事はもらえないのに。
すごく軽い人なのだろうか。それとも社交的で誰とでもご飯に行ける人なのだろうか。
ここで、そうですねと返して本気にされても困る。
私は軽々しく異性に食事に誘われて行くような人間ではない。
警戒心を持った。
でもはっきり断って今後気まずくなっても困るし。
「また機会があれば」
そう愛想笑いを浮かべて返答し足早にその場を去った。
あの人は一体何なのだろう。
不思議に思いつつ、その後気にも留めずに日常を過ごした。